短所や苦手なところも含めて、自分で自分を肯定的に認めて、大事にできているかどうか、ということが自己肯定感です。
自己肯定感が高い人ほど幸せで、低い人ほど不幸せだと感じやすいと言われています。
日本の子どもの自己肯定感は、他国の同年代の子どもと比べて圧倒的に低いという結果が内閣府の調査から以下のグラフのように出ています。
その原因はいったいどこにあるのでしょうか?
実はその多くは親にあるのではないかという仮説を大勢の研究者が主張しています。
よくあるのが、誰かに子どもをほめられても、「そんなことないです。」とか「うちの子なんて全然ダメ」と謙遜のつもりで言ってしまうこと。
子どもがそばにいなければまだいいのですが、子どもの目の前でそれを言ってしまうと、子どもは「ぼくは(わたしは)だめなんだ」と感じてしまうようです。
つまり、親の(日本人にはよくある)無意識の言動によって子どもの自尊感情が損なわれ、自己肯定感が低下すると考えられているようです。
出典:「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」(内閣府)
第一に、ネガティブな言葉をかけないことです。
他の子やきょうだいと比較したり、悪いところを過剰に怒って指摘したりするような行為は、子どもを委縮させて自己肯定感を損ねます。
次に、子ども自身が好きなことをさせることです。
夢中になれること、得意なことをたくさんやらせてあげること。
国語・算数・理科・社会といった学校の科目だけが子どもの特性ではありません。
元気があるとか、優しいところがあるとか、礼儀正しいとか、子どものいいところを親がきちんと見てあげて、それをほめること。
それが子どもの自己肯定感を高めることにつながります。
学校や塾での勉強も同じです。
できない所を指摘するより、できているところをほめて、喜んであげること。
そのときに親自身が「うれしい」という感情をはっきり子どもに伝えることが大事です。
人間は子どもであっても、むしろ子どもこそ、他の人が、特に親が喜ぶことをしたがるものです。
テストの点数が期待に沿わないときも、まずその中でできている部分に目を向けることです。
例えば算数で、計算はほとんどできているのに文章題で間違いが多いのであれば、子ども自身はきっと思うように点数が取れなくて悔しい思いをしているかもしれません。
そんな時に親からも「何? この点数は!!」と言われたら、自分は算数ができないんだという気持ちになって、ますます算数に取り組む気持ちが薄れてしまう傾向にあります。
それを「あら、計算が良くできてるのね。」といわれたら、子どもはうれしいはずです。そこにさらに「毎日、計算練習しているもんね。」と付け加えることで、結果でなく、行動を認められたと認識し、その行動を繰り返そうと考えます。
そこで、「文章題も練習したらもっとできるようになるんじゃない?」などとアドバイスすることで、子どもは「じゃあ、計算練習だけでなく、文章題も毎日練習しよう。」と思って、行動に移してくれる可能性が高まります。
「お母さんもいっしょに勉強するね」と子どもが学習に取り組む横で家計簿をつけたり、資格の勉強をしたりすると効果は高まります。
国語でも理科でも、社会でも、その科目のなかで興味をもって取り組める内容とそうでない内容が混在しています。
興味をもっていなかった分野に目を向けられるように例えば新聞の記事や、Youtubeの動画などで一緒に楽しんだり、対話をすることでそれまでと違った結果につながることもあるでしょう。
大切なのは、今できていることを認めることと今できていないことをこれから前向きにとらえられるように寄り添い、支えてあげることです。
子どものうちにたくさん失敗することとそこから立ち直っていく力を育むことが、これからの時代にはとても大切です。
できないからとすぐにあきらめるのではなく、できるまでやろうという、困難に立ち向かうマインドを育むこと。
今できていないことがダメなんではなく、できないことをできないまま放っておくことが良くないことなんだという前向きな気持ちを育むこと。
そして、やればできると信じて、(自分一人の力でなかったとしても)まずやること、そして、少しでも前に進むことができるようにサポートすること。
こういった経験を積み重ねて、子ども時代にしっかりと育まれた自己肯定感は、いつか社会にでてであう困難にも立ち向かい、乗り越える力になっていくはずです。