
・コスパの良い解きなおしのやり方
・コスパの良い解きなおしのタイミング
この記事の著者:QLANあざみ野校の室長こんにちは!
うっかり申し込んだメタルグループの1月のさいたまスーパーアリーナ公演のチケットが入手でき、
自分の趣味ばかりで、嫁と息子に申し訳ないQLANあざみ野校 室長の澤井秀太郎です。
8月末に推しのバンドの対バンで初めて生で観たグループなのですが、
予習で聴いていた以上に素晴らしく、ファンになってしまいました。
さて、今回はコスパの良い学習法についてお伝えしてまいります。
昨今はコスパ、タイパといった言葉で
効率の良いことを称賛する傾向がありますね。
映画も倍速で鑑賞とか、文学作品の要点だけ5分で読めるとか
やりすぎじゃない? と思うところもありますが、
受験に向けての学習は、できるだけ効率よく取り組みたいもの。
では、どうすると効率よく学習できるのか
ということについて、今回はお伝えしてまいります。
3つの学習ステップをご存知ですか?
今回はこの中でも「解き直し」を、もっと効果的にするためのやり方と
タイミングについて詳しくお話ししていきます。
まず、リトライの「やり方」についてです。
多くの子が、「間違えた問題だけもう一度やってみよう」としますよね。
合っていたものはもう一度やったってできるのが当たり前ですし、
そんなの無駄だと感じるんじゃないでしょうか。
その気持ちはよくわかります。
しかし、実は合っていたものも含めて全問リトライをした方が、
かけた時間や手間に対しての成長が大きく、コスパが良いことが実験でわかっているんです。
間違いだけをリトライしている子は、
要領よくうまく勉強しているつもりでいると思いますが、実は大損しているんですね。
そのことを示す実験が、パデュー大学のカーピック博士が行った研究です。
こちらの記事で紹介されています。(※別のサイトにジャンプします。)
カーピック博士は、ワシントン大学の学生たちにスワヒリ語の単語(40個)を
覚えてもらう課題を出し、次の4パターンに分けて学習させました。
グループA 覚え直し(ポ発):全て / 再テスト(リトライ):全て
グループB 覚え直し(ポ発):間違えたものだけ / 再テスト(リトライ):全て
グループC 覚え直し(ポ発):全て / 再テスト(リトライ):間違えたものだけ
グループD 覚え直し(ポ発)間違えたものだけ / 再テスト(リトライ):間違えたものだけ
どのグループも、最終的には全問正解できるまで繰り返しました。
一見すると、時間が短くて済みそうなDグループが効率良さそうに思えますよね。
実際に、すべて覚えるのにかかった時間が、Aグループを100とすると、
B・Cは75くらい、Dは50くらいだったそうです。
Dグループが一番短い時間ですべてを覚えきったので、うまくやったように見えますね。
ところが!
1週間後に抜き打ちテストを行った結果、驚きの差が出ました。
グループA(全て覚え直し&全て再テスト):平均約32問正解
グループD(間違えたものだけ覚え直し&再テスト):平均約14問正解
つまり、Aグループは、記憶の保持率が2倍以上だったんです。
Dグループは、かかった時間が半分にはなりましたが、
覚えている量が半分よりも少なくなっているので、
これだと損をしているのがわかるのではないでしょうか。
さらに面白いのは、グループC(全て覚え直し&間違えだけ再テスト)と
グループB(間違えだけ覚え直し&全問リトライ)の結果です。
実は、AとBの成績はほとんど変わらず、CとDの成績もほぼ同じだったのです。
つまり、覚え直しは合っていたものはやらなくても点数が下がらないので、
やらない方が効率が良いが、再テストはやらないと点数が大幅に下がるので
やらないと損ということです。
Bグループはかかった時間75に対して、平均約32問の正解。
それに対してDグループはかかった時間50に対して、平均約14問の正解です。
かかる時間は3分の2くらいにしか短縮できないのに、点数が半分以下に落ちる、
そんな勉強をしていたら馬鹿らしいなと思いませんか?
では、なぜ「全問リトライ」が効くのでしょうか?
この結果からわかるのは、
・人は「覚えること」より「思い出すこと」で記憶を定着させる
・「テストする」=「アウトプットする」ことが最大の記憶強化法
ということです。
この現象は「テスト効果(testing effect)」と呼ばれていて、最強の記憶術の1つです。
つまり、全問リトライは「忘れているところを探すため」ではなく、
「記憶を脳に定着させるため」に行うものなんですね。
こうしたことも、知らないと「めんどくさい」「無駄だ」「やりたくない」ってなってしまいますよね。
それは普通の反応です。
でも、「無駄だよ。なんでもう一度やらなきゃいけないんだよ。」と思っているのと、
「成績を上げるためにはやらなきゃ損だ」と思っているのとでは、実行できる確率が全然変わってくるんです。
では、この解きなおしは、いつやるのが効率が良いのでしょうか?
実は解きなおしは、取り組むタイミングによって学習効果が大きく変わります。
ここで覚えておいてほしいのが、分散効果です。
この分散効果も様々な実験で確認されている強力な学習法です。
実験のパターンは様々あるのですが、一貫して言えるのは、
解きなおしは時間を空けて行った方が記憶に定着するということ。
短期集中で一気に覚えたものは、すぐに忘れてしまうんですね。
では、どれくらい間を空けたら良いかですが、
あまり空けすぎるとすっかり忘れてしまって、覚え直すのが大変になります。
もちろんその大変な作業をやり切れば大変な力になるのですが、
忙しい受験生がそんな大変な作業をやるのは現実的ではありません。
ちょうどバランスがいいのが「忘れかけたタイミングで行う」ということです。
おすすめのリトライスケジュールは、
1回目:10分後(軽い確認)
2回目:1日後(ちょっと記憶があやふやに)
3回目:1週間後(忘れかけてる)
4回目:1か月後(長期記憶へ)
この“忘却曲線”に逆らうように、少しずつ間隔を広げながらリトライすることで、
定着率は飛躍的にアップします。
多くのお子さまが、この1回目を飛ばすせいで
1日後にすっかり忘れてしまっているということも多いので要注意です。
QLANではこの1回目の生徒たちに大事さを生徒たちにアピールして、
宿題として取り組むように促しています。